新潮新書の「ハゲとビキニとサンバの国では ブラジル邪推紀行」(井上章一)を読んだ。
ブラジルについては、昔はサッカーの神様ペレの国。Jリーグが出来てからは、各チームの中で一番基盤の弱かった鹿島アントラーズを常勝チームに育て上げ、全日本の監督まで務めたジーコの国というサッカーに関係した事しか語る情報を持ち合わせない。
しかし、現在世界で伸び盛りの国としてブラジルを無視することはできない。伊藤洋一さんのブログで紹介してあった同書を手にとってみた。
建築学者であり風俗史家だそうだが、リオデジャネイロ州立大学へ招かれ数ヵ月教鞭をとられた経験をもとにかかれた本書は、日本人が抱いているブラジルのイメージから話を展開し、とても興味深い。サンバショーの進行役のボードビリアン氏に指名されステージにあがるくだりなど風俗史家としての、サンバショーとはどんなものかの分析と関西人としてこのような舞台で面目をほどこしたいという矜持が程よく混じっていてとても面白い。
カトリックの国ブラジルの宗教事情についての記述が良かった。一神教であるキリスト教の他の宗教を許さない厳しさの面ばかりを知識として持って来たが、少なくともブラジルの現実はそのような認識のみでは正確でないことがよくわかった。