金曜日, 7月 18, 2008

急に売れ始めるにはワケがある

  • 今週は少々仕事が忙しかったので、読んでない本がたまってきた。
  • 読んでいる途中の本の一つは、「急に売れ始めるにはワケがある」(マルコム・グラッドウェル)。ティッピング・ポイント(The tipping point:あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと)を主題にした内容だ。
  • このような現象には「コネクター」と呼ばれる人の存在があるという。コネクターというのは、ネットワークではハブのことだ。この本で具体的例としてとり上げられているコネクターの話には仰天する。例えば、ロジャー・ホウチョウの場合には、こんな具合だ。
  • ホーチョウの娘・サリーが、彼女の友人が料理長をしている新しい日本料理のレストランに父親をつれていったときのことを語ってくれたことがある。そこの食事が気に入ったホーチョウは家に帰ってくるなりコンピューターのスイッチを入れ、そのレストランの近くに住む知り合いの名前を拾い出し、すばらしいレストランを見つけたから、ぜひ試してみるべきだと全員にファックスを出したというのである。これこそ口コミの最たる例だろう。たとえわたしが友人にとてもおいしい料理を出すレストランがあると語り、その友人がまたその友人にそれを伝えただけではだめなのだ。口コミはその連鎖のどこかで、ロジャー・ホーチョウのような人の口を経た時に突如として始まるのだ。
  • 世の中の爆発的な流行現象には、このような人が関与しているという。エイズの初期の流行がアメリカのゲイの世界から広まり、その流行には並外れて活動的なゲイが大きな役割を果たしたことは良く知られている。よく考えてみると、これは爆発的な流行に結びつくような場合だけではなく、多くの人は普通にこのようなコネクターのお世話になっている。私が著名な科学者であるオリバー・スミッシーズ、前田信代夫妻のところへ留学できたのも、児玉龍彦先生や森下先生の紹介状のおかげだが、この先生方はコネクターと呼んで間違いないのではないか。私とのそんなに強いとは言えない、どちらかというと弱い絆の達人というところも、この本に書いてあるコネクターの条件を満たしている。
  • 世の中、思わぬ展開が広がる時があるが、このようなコネクターの存在がある。なかなか、目を見開かせてくれる内容である。

0 件のコメント: