日曜日, 1月 11, 2009

ノーベル講演は直接(webで)見るべきだ

  • 伊東乾さんが、NBonlineでの連載で、日本のノーベル賞受賞について一連の記事を書かれている。この記事で、ノーベル財団のスタンスについていろいろ勉強させてもらった。科学的にエポックメイキングな業績であることは勿論であるが、その科学的業績が社会にもたらすインパクト、特に世界平和に対して深く配慮されていることを教えてもらった。
  • 新年の記事では、ノーベル賞受賞講演について書かれている。これで、益川先生が日本語で講演したことの意味、下村先生は始めての原爆被爆科学者の受賞であること、南部先生が何故受賞講演を受賞を逸した共著者であるヨナ教授に譲ったか等、新聞、TVなどの報道ではあまり伝えられていない部分を知ることができた。特に、日本の世界における位置(英語を話せなくても世界一流に到達できる学問基盤を日本がもっていたこと)、ノーベル賞のような純粋科学の場で日本精神、謙譲の美徳を示されたこのような逸話は、多くの人に是非知ってもらいたいところである。伊東さんが、このような記事を書かれたことは大変よいことをされたと思った。
  • この記事では、ノーベル賞受賞の記念講演がノーベル財団のホームページにアップロードされていることが記されていた。ホームページには、受賞が決まった時の電話インタビューもアップロードされている。こういうのを直に聴くことができるなんて、すごいことだ。
  • 今年の受賞者の講演とインタビューを2,3聞いた後、留学で滞在した研究室のボスであるOliver Smithies教授の記念講演とインタビューを聴いてみた。受賞の対象となったノックアウトマウスの基盤技術であるジーンターゲティングにどのようにして行き着いたを詳しくユーモアを交えて語られている。先生の最初の大きな業績であるゲル電気泳動の発明、それを利用して血液中のタンパク質、ハプトグロブリンの研究からホモロガスリコンビネーションが実際にヒトの遺伝子で起こっていることを知ったこと。そしてそれが望む遺伝子変異をもつ細胞を作成する手法に繋がったこと。ステムセルに遺伝子導入をする時の装置の工夫等。例によって、自身で保存されている実験ノートを示してこれで上手くいったのだと、その時の感動を追体験しているかのように嬉しそうに愉快に話されている。私がいた10年前より体調が良いのでは、と感じたくらいお元気だ。電話インタビューのほかにも受賞者紹介のビデオがあり、研究室や所有されている飛行機まで、写っていた。
  • ノーベル賞の受賞講演、インタビューはこれからチェックしておくべきだと思った。

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