金曜日, 11月 23, 2007

学習の高速道路-私の感じた例

  • このあいだ、「学習の高速道路」の話を書いた。思い出したことがあったので、書き留めておく。
  • 私がウェブを使った学習の可能性を最も強く感じたのは、これまでに解かれた「タンパク質の構造」がパソコンですぐ表示できることを知った時であった。
  • X線結晶構造解析やNMR等でタンパク質の3次元構造を解析し、論文に発表すると、ある期間内にデータベースに登録しなければならないことになっている。そのデータベース(pdb)は誰でもアクセスでき、公の機関や個人で公開されているソフトを使ってパソコンで3次元的に表示してみることができる。タンパク質全体の形をみるためには、その表面やポケットの形を見たいときもあるだろうし、アミノ酸がつながったつながり具合を見たい時、へリックスやシート構造等の骨格を見たい時もある。ソフトはよくできていて、用途に応じて自由に表現できる。
  • 一時これに凝っていて、いろいろなタンパク質(自分の研究に関係のあるものだけではなく、代表的なタンパク質も)を表示して、その構造をくるくる回して遊んでいた。もっとも面白い遊びは、次のようなものがある。
  • 「ある遺伝子を見つけた。まだ3次元構造はわからないが似た遺伝子の機能からどうもXXの機能を持つ酵素らしい」というような論文が報告されていたとする。その遺伝子のアミノ酸配列をあるサイトに放り込んでやると、すでに構造が登録されているタンパク質からもっとも近い配列をもつタンパク質を選びだし、その構造を元に、微調整してそのアミノ酸配列を持つタンパク質の推定構造を返してくれる。そのようなサイトがある。ここ数年、まったくいじっていないので最近のことはわからないが、もっと進歩しているだろう。
  • このような遊びは、タンパク質の基本構造が頭に入ると俄然面白くなる。私は、核内レセプターに特に興味をもっているけれど、自分の研究しているキーとなるタンパク質の構造には誰しも興味がある。このようなところから、構造に対する感覚を養って、3次元構造構築、機能との関連について、研究を進める若い学者が出てくるものと思う。

0 件のコメント: