火曜日, 12月 09, 2014

寺島実郎氏の講演会に出た


  • 寺島実郎氏の講演会に出る機会があった。
  • 講演会は国際ミーティング・エキスポ(IME2014)の基調講演。演題は「観光立国への戦略的視座」。ネットで事前登録できたので、いい機会だと思って参加した。
  • 内容は、人口減少と成熟化(65歳以上が26%:2013年、40%:2048年)を迎えても衰亡しない知恵について、それには観光立国やコンベンションが重要だが、たんに拡大ではなく高度化が重要というものだった。以下、私のメモ。

  • 日本の人口は2008年に1.28億人でピークアウト。1億人を超えたのが、1966年、今度1億人を割るのが2048年。人数で来た道を逆戻りするだけだが、65歳以上の全人口に占める割合は、7%(1966年)、26%(2013年)、40%(2048年)と成熟化の面ではまったく違った道を通ることになる。その頃には、年寄りの投票率は高いから、65歳以上の投票数が全投票数の6割を占めることなる(シルバーデモクラシー)。
  • 対策として、観光産業の推進が考えられている。今年、日本への旅行者は年1300万人となると見込まれているが、将来は3000万人を目指している。だが、2泊3日で3万円のツアー客が300万人くるようなら観光立国というのは大変 shabbyなことになる。観光産業の高度化が必要。
  • 真の成長戦略には「新たな産業観に立つ産業創生戦略」が不可欠である。戦後の日本の成長は製造業が引っ張ってきたが、それとは異なる姿がある。まわりを見るとシンガポールや香港が参考になる。シンガポールは工業生産力は高くなく、人口も少ない。どうやって高付加価値国家を形成したかが参考になる。(一人あたりGDPは、1位シンガポール5.5万ドル、日本は3位で、今年3.8万ドルの4位香港は今年中に日本を抜く模様)
  • 工業生産力を高め通商国家として付加価値を創出するパターンだけでは一人あたりGDP、5万ドルを超すことは不可能。新産業創生プロジェクトとして、MRJ等中型ジェット旅客機の国産プロジェクトがあり、これも非常に重要。だが、ソニーの苦闘を見ていると、プロダクト産業論の限界を感じる。
  • コンベンションでは会議のソフトウェアに注目。大きな会議室をもっているだけではない。全員に端末を配って、演者の今の意見に同意する人がどれくらいなどとレスポンスをとりながら会議を進めるのは当たり前になりつつある。そのようなソフトの開発力が重要。次世代のICT、ビッグデータ時代を迎え、アマゾンやグーグルがどのような次世代の形を考えているか。
  • 統合型リゾート(IR)を柱とする「観光立国」の実体化が重要。医療ツーリズムやコンベンション(国際会議)。リゾートというとカジノが言われるが、カジノを含めもっといろいろある。これまで製造業からサービス産業に配置転換されてきたが、年収は平均で120万円低くなったと言われる(介護やタクシー運転手の世界)。観光をリーディング産業ににするなら、年収200ー300万に止まってはダメ。500万、600万、700万になるべき。フランスやスイスでは観光で隆々とやっている。ハイエンドのリピーターを引きつけること。インダストリアルリゾート(産業リゾート)が必要。ハイエンドの知的基盤、ビジネスクラスで来日し、ハイエンドホテルに滞在し、観光もする。そのようなリピーターを掴むには物語がいる。地域の特性にふさわしい統合型リゾートの構想を描き切ること。ハイエンドの知的基盤を整備する必要がある。アメリカではコーネル大学のホテル学部があり、そこでハイエンドの人を育てる仕組みがある。

  • 統合型リゾート(IR)、インダストリアルリゾートという言葉は覚えておいたらそさそうである。

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