- オーファンドラッグの開発は企業としてやる価値があるかという問題がある。
- オーファンドラッグというのは日本語でいうと希少疾病用医薬品である。「難病などの治療で必要性が高いのにもかかわらず、患者数が少ないため採算の取れない医薬品を指す」と説明されている。採算がとれないなら企業にとって価値がない。
- 忙しい医者が1年に1例みるか見ないかというような病気にかかった患者にとっては大変なことである。そもそも診断がなかなかつかない。よく知った専門医や勉強熱心な医者にかかった患者がようやく診断をつけてもらう。これまでの研究成果で原因がわかってきていても、その原因に対処すべき方法(薬)が開発されていなければ不満足な治療しか受けられないだろう。
- それなら、何とか採算がとれるようにして企業がそのような疾病にも薬を作るインセンティブを与えようと、アメリカでは1983年にオーファンドラッグ法が施行されている。税制上の優遇にくわえ7年間の市場独占権を認めている。それにならって、日本でも法の改正やオーファンドラッグ開発振興業務が行われている。
- こういう政府の援助というのは往々にして効果を発揮しないことも多いのだが、アメリカではエポエチンαをはじめ,オーファンドラッグ指定を受けた後、超ベストセラーとなった薬がいくつも出た。これらの薬は、最初は希少疾患を対象と考えていたのかもしれないが、承認を受けた後、他の病気や症状にも有効であることがわかってグンと市場が広がったからだ。
- ここで最初の問いに戻るが、私の答えは「やる価値はある」である。反対に、「アメリカの成功例があるからという理由だけでは納得できない、そのような成功例がたまたま続いただけである」と見る向きもあろう。
- 私は思う。良い薬を作るには病気の症状にしっかり結びついた原因が明らかになっていることが大事である。であるけれど、そのような場合というのはあまり多くない。また、患者が多くその原因がはっきりわかっている疾患では既に薬の開発が活発に行われていることが多い。
- そうであるならば、希少疾患でもその原因がわかってきているような疾患は、少数ではあっても症状がはっきりしており明確な原因、症状のつながっているものであるともいえる。対象疾患が明確である薬を作ることはそうでない疾患にくらべ格段に効果につながる確度が高い。それならば、最低限の患者は保障されているのだからその薬を作り、その原因に関連する多くの因子につらなる疾患群に期待するというのはどうであろうか。実は一つの原因に対して多くの症状がつながっており、関連する疾患群は馬鹿でかいという場合が多いのではないかというのが私の感覚である。
木曜日, 4月 17, 2008
希少疾病用医薬品
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