日曜日, 8月 05, 2007

一度も植民地になったことがない日本

  • 「一度も植民地になったことがない日本」(デュラン・れい子)を読んだ・
  • 普通のヨーロッパ人の日本に対する認識を記述した本である。ヨーロッパ人が知っている日本に対する認識と日本人が思っている認識とのズレについて、あるいは、本当に知ってもらいたいあるいは紹介したい日本について、著者が常日頃感じていることいつも会話で彼らに言っていることなどが書いてある。
  • 表題の話は、日本人はあまり認識していないが、ヨーロッパ人にはむしろよく認識されている話として象徴的に出てくる。私自身の意識の中でも、「日本が植民地になったことがないというのは、稀有なことだ」と認識したのは、割合最近のことである。理科系人間の私が日本の歴史について疎いからというだけでなく、多数の日本人もあまり考えたことがない事実だと思う。
  • マレーシアの前首相のマハティールさんや台湾の前総統、李登輝さんが、日本が有色人種として、欧米のアジア植民地化を跳ね返し、独立を維持したことが、アジア、アフリカの有色人種が第2次大戦後に独立を勝ち獲るためのよい見本となったと言ったこと等を知るようになってからかもしれない。
  • このような「日本人としての自尊心」をもってよいことはたくさんあるということは、日下公人氏や伊藤洋一氏の著作やコメントで啓発され、最近しばしば認識するようになった。この本はそのようなことを、シンクタンクの研究者といった専門家ではなく、スウェーデン人と結婚し、オランダに住んでおられる著者が、一般人のレベルでフツーにヨーロッパの人々と話されているというところが面白かった。
  • 私の経験では、日本人は仲間内で理解しあっていれば満足しており、異文化人には理解されにくい、理解されなくてもしかたがないと、諦めていることが多いと実感したのは、40を超えアメリカの大学に1年留学した時だった。
  • 著者の話はちょっと気がつかなかったような話がたくさんでてきて面白い。例えば、「日本人は清潔さにもっと誇りを持つべき」とか、「駅弁文化」とか、振り込め詐欺にみられるような相手を信じてしまう日本人の甘さ―これは、ヨーロッパ人は必ず相手の目を見て話すこと、そういう相手を必ず疑う(デカルト以来の伝統)ことを真面目と捉えたフランス人の話---。小さいことだが、なるほどという話が一杯ある。
  • ヨーロッパ人と話するときはこんなことをきちっと言ってやるとよいのだとわかった。大変面白かった。

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