- 「つっこみ力」(パオロ・マッツァリーノ)を読了。本をぱらぱらとめくった時は、つっこみとボケとか、戯作の精神とかいう言葉が目に付いたので、「効果的に意見を言う方法」みたいな内容かと思って買った。前半を読んでしばらく置いておいたが、後半を読んで見ると少し違った。著者は社会学者のようである。なにやら、この名前は判じ物のような気がするが、解けていない。
- この本の主題は、「データを基にした意見、提言に対して、ほんとにそうなのかとつっこむことが大事ですよ」と言うようなことだ。最初の方で、「テーマ等どうでもいいじゃないか面白ければ」という「ハックルベリー・フィンの冒険」の言葉が引用されている。面白さからいう と、本の前半の「つっこみ力」の解説も面白くないわけではないが、最後に出てくる「日本で自殺が多い原因は住宅ローンである」という話が 大変興味深かった。日本の住宅ローンの仕組みはおかしいということである。
- 「ゆとりローン」の話がでてくるが、私もあれはどうかと思っていた。確か、筑波に住宅公団のマンションができた時、「返済は最初は月6万で結構です。だんだん返済額が上がっていきます。通常のローンだと、このマンションを手に入れるための返済額は最初から高くなりますから、まだ若い方には難しいかもしれません。このローンですと、偉くなられてお給料が上がるのにあわせて返済額が上がっていきますから無理なくご購入できます」等と説明された記憶がある。「何だ、悪徳高利貸しじゃねえか」と思ったが、当時はそれで通ってしまったようであった。
- 住宅金融公庫が平成5年ごろ大量に「ゆとりローン」を貸し出したらしい。そのつけが、平成10年、返済6年目に脱落者の増加という形ででたのだそうだ。自殺者の数が急増している。
- 漫画の「なにわ金融道」等がヒットしたのもその頃だったと思う。私も読んで勉強した。冷静に考えれば「サラ金」みないな大変ヤバイ制度である。バブル崩壊を経た現在の日本でそんなローンを出せば強く糾弾されるだろう(役人の信用もなくなった)。
- 日本の住宅ローンは生命保険の加入がセットとなっている。これは、そういうもんだと思っていたが、これはヘンだ。欧米では、住宅ローンは基本的に、家そのものだけを担保とする。ローンを借りた銀行等に担保の家を差し出して、その時点でローン返済は終了となる。(勿論個人信用には傷がつくが)
- 日本の制度のおかしいところはこの点だ。日本でもこのように、家そのものだけしか担保にできないことにしたらよいということだ。そうすれば、 貸す側にリスクを負わせれば必死になって建物を検査するはずである。鉄筋を抜いたマンションを作って、住民が住めなくなってローン返済をギブアップしたら貸し手が困る。そして、なにより借り手も自殺する必要はない。
- 今、政策担当者たちは住宅ローンについては生命保険とセットとなっていることをどのように考えているのだろうか?法令が云々ではなく、政策で対処する問題のように思う。建設関連業界の立場からはどのように考えるのであろうか。そのあたりをもっと知りたいし、考えてみたい。
日曜日, 7月 29, 2007
日本経済の問題
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