- サントリー音楽財団のトランスミュージック「対話する作曲家江村哲二、脳科学者茂木健一郎を迎えて」と題するコンサートに行って来た。茂木健一郎の書き下ろし英詩を取り入れたオーケストラ作品 ≪可能性無限への頌詩≫の初演であった。
- このような現代のクラシック音楽のコンサートに行くことは始めての経験である。子供が吹奏楽をやっているのでまったく縁がないというわけではないが、行くことにしたのはきっかけがある。
- 茂木健一郎の対談本「フューチャリスト宣言」(梅田望夫/茂木健一郎)を読んだ後、茂木健一郎の本が眼について、「音楽を考える」(茂木健一郎/江村哲二)を読んでみた。その中で、
「聴く」ということは自分の内面にあるいまだ形になっていないものを表現しようとすることだ
- という話が出てきて、それがその本の一つの主題となっていた。「創造するとは自分の中にあるものを発見することだ」と茂木さん江村さんが熱く語っているわけだ。このことが自分にずしんと響いてきた。自分を振り返って、どうも既存の役割にあわせて振舞おう、外にある基準に合わせようという意識が強くなっていないかと反省した。
- 自分自身を物理学者、分子生物学者たろうと考えていた学生時代。あるいは、会社の研究所員に身分が変わった時にも、自身で新しい発見をするのが自分の生きる道だと考えていた。お二人が物理や数学出身という背景もあって、一瞬にして若い頃の意識に戻ったようである。「自分の内面にあるいまだ形になっていないものを表現する」を改めて志すことが必要だと今さらにして気づいた。大げさにいうとそういうことである。あまり、クラシックには縁のない私だが、このコンサートに行ってみようと思ったのはそういうわけであった。
- 聴いた感想としては、現代音楽についていくのはちょっと大変、というのが正直なところ。あのような音楽が、江村さんの意識の中で鳴り出すというのがすごい。私の中を探しても見つからない。もっとも、シューベルトやベートーベンの音楽を聴く前にそのような音楽が私の意識で鳴り出すというのも想像できない。そもそも聴いたクラシック音楽の絶対量が問題ということかもしれない。
- ついていくのが大変でも、このような新しい試みの発表の場におれたことは刺激的な経験であったことは確かだ。茂木さんが会場のさまざまな場所から現れて詩を朗読するのには驚いたし、天上の意識を表現していたバイオリンの音もきれいであった。
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