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オープンな競争を支える仕組み(競争的研究費)
- 大学の研究者は大学から研究室の運営に必要な費用が与えられるが、進んだ研究をするためには、さまざまな資金(競争的研究資金、企業からの研究費助成金等)に応募して研究費を獲得する必要がある。私は企業の研究部門に勤めているが、ある競争的研究費の審査や管理に関係していた(プログラムオフィサーとして)。ここ数年で日本のこのような研究費の審査、採択などの運用制度がかなり変わったことは国立機関の研究者以外あまりご存じないのではないだろうか。
- 大雑把にいうと、これまでお役所の事務官が運用していたのを、研究者を専属で資金配分機関に配属して管理システムを整備するようにしたということだ。そのような役目の研究者をプログラムオフィサー(PO)と呼ぶ。
- 欧米では、資金配分機関に専任のプログラムオフィサー(PO)を置くシステムができている。日本では、まだPOのキャリアパスもはっきりしておらず、常勤ではなく研究所と兼任で仕事をする人が多い等、整備途上である。
- どうしてこのような制度変更が必要だったかというと、それは科学技術研究費を増額する政策(国の予算は厳しく枠をはめ増えないよう抑えてきたが、その間も研究費は増額してきた)をとってきたが、オープンな競争を保障するためには制度として十分ではなかったということである。
- 何が十分ではなかったかというといろいろあるだろうが、一番は研究実績のある年配の研究者に配分が偏っていて(50台が一番配分が多かったようだ)、創造的な研究を担うべき若い研究者に資金が渡っていなかったことであろう。
- ずらずら書いてきたが、昨日の企業の問題と同じく、国の科学研究費も若い人のモチベーションを抑えるような体制であったことがわかる。創造的な研究を支えるには、実績のみにとらわれず、チャレンジングではあっても、大きな意義をもった研究目的をもち、しっかりした研究計画を立てているものを見逃さず採択することにあるといえよう。そのためPOが果たすべき役割は大きい。
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