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トップガイド、谷田悟さんの講演を聞いた
- 先週の土曜日、谷田悟さんの講演会を聞いてきた。通訳ガイドの分野で長年活躍されてきた方ということなので、通訳ガイドの方はどのように活動されているのか、興味深く話を聞いた。
- 演壇の前に立たれた谷田さんは、にこやかでさすがにプロの接客業の方だと感じた。派手な感じではなくどちらかというと謙遜しながら、話を始められた。
- 通訳はしていたがガイドの仕事は、話を聞きに行ったら即現場に引っ張り出されて、見学のつもりが、途中から任されてしまって、大変だった等とお話しを始められた。お話しを始めると若々しく、だんだん熱がこもる話に思わず引き込まれた(68歳とのことだが、好奇心にあふれていて、話をされている印象としては50くらいにも感じた)。いくつも、印象に残る話があったがいくつかメモしておきたい。
- これまで頼まれた仕事を断ることは基本的になかったそうだ。最近仕事を断わったことがあって、その時、「そうですか」と言われて、はっと、「あ、断わってもいいんだ」と思った。最近断ることを覚えたと言われたのには、聞いてる方が驚いた。後に出てきたが、こうやっていろいろな仕事を引き受けていくうちに、受ける仕事が広がったということだ。
- 多彩な分野の仕事をされているが、精神医学、法廷、工学(材料工学、金属、表面処理)、---。すこしずつだが、いろいろな分野の説明が少しずつ聞けた。2,3挙げると、「刀の焼き入れの話」:マルテンサイト転移、体心立法格子から面心立法格子に変わる。その時体積が大きくなるので、まっすぐだった刀が特徴的な反りができる。---。 「火山の話」:確か朝日新聞のGLOBEの紙面だったと思うが、地震の規模、火山の噴火の規模を視覚的に表した特集を示されて、東日本大地震は最大規模の地震であったとか、20世紀最大の噴火はピナツボ火山の噴火で、1800年初めのインドネシアのタンボラ山の噴火は歴史上最大の噴火で世界中が寒冷化した。それより大きな噴火がイエローストーンだ。その後が世界最初の国立公園となった。「白川郷の合掌造り」:雪を落とすためにこのような構造にされた、と説明するが、それでは不十分。白川郷だけが、大雪が降るわけではない。合掌造りは2階、3階、4階まであって、人の住んでるのは1階で、2階以上は蚕がいた。蚕は手がかかる人工の種であるbombix moriで30分ごとに床を取り換えないといけなかった。すごく人手がかかる産業だった。「高山の酒造り」:酒はユニークな発酵をさせる。ワインはぶどうに糖を含むが、コメには糖がない。まず、糖化(saccharization)が必要である。ビール造りも麦から発酵させるが、完全に2段階に分けている。酒の場合は、同時に2段階を並行して進める。糖化がうんと進むと次のステップがうまく進まないから、小さく初めて足していく独自のやり方になっている。そのため発酵でできるアルコール含量が最大になる(16%だが、出来立ては20%になり、薄めている)。---。
- 自分の手で調べて納得したストーリーをもとに話をされるので、説得力が高く、熱がこもった話に思わず引き込まれた。こんな話をされたら、いろいろな分野の専門家も、興味をかき立てられて、ファンになるだろう。指名されるはずだ。
- 外国には、地方に行ってもvisitor centerがあって、そこにはまともな解説書が置いてある。日本は、新宿の都庁にいっても、パンフレットがまとめておいてあるだけ。まともに観光に対処しようという考えがなかった。
- 外国人に説明するのだから、こういう説明でこれくらいでいいだろうというような態度が観光のガイドに対する説明でも接するような気がする。谷田さんの話は、日本人でも、いやいろいろな分野の学者でも、好奇心にあふれたビジネスマンでも、興味を刺激すると思った。そのような話を準備するのは、本からというお話だった。あまり計画的に選ぶのではなく、ガイドした専門家のお客さんから著書をもらったりしたのを、しばらく置いておいてだんだん興味に従って読む。また、テレビでもよい情報を紹介した興味深いものがたくさんあるとおっしゃっていた。
- すごく自然体で、好奇心にあふれて、人間的に素晴らしい方であった。まだまだ長く活動していただきたいものだ。
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