月曜日, 3月 21, 2016

通訳ガイドの研修(東京)を受けてきた

  • 2月に大阪で受けた通訳ガイドの研修。東京でも同じ研修があったので、東京でも受けてきた。大阪との違いは実習で回る観光地が変わるのと、講師が入れ替わるところ。今度の研修についても少し感想を書いておく。
  • 1日がバスでの実習、他の日が座学なのだが、座学の日も3分の1が研修生がプレゼンをして講師がそれに対してコメントをつける形の実習になっている。10人あまりのグループでプレゼンの実習をやるのだが、その時の講師が幸運なことに、先日講演を聞いた谷田さんだった。実習生のプレゼンに対して指摘された点は、実習生がふれた日本文化などの内容について、その背景について説明を加えて、こういう説明を加えると興味深くかつ分かりやすくなるというように掘り下げ方を解説してくださったところだ。ある程度の人数の実習生を限られた時間で対応するため、話の方向性の示唆というぐらいの感じだった。バスでの解説の時には、もっと長い時間だったので、ある程度まとまったガイドが聞けた。例えば、建て替えを待っている国立競技場の前では、新競技場のコンペの顛末を話題にし、コンペで斬新なデザインのザハハディドの案が選ばれたのだけれど建設費を計算してみると、2billion dollarsを超えることがわかった。北京やロンドンオリンピックの場合は500million dollars(?)だったから、これはどうかということになった。森前首相、オリンピック組織委員会長は、「問題ないお金を惜しんではいけない」と言ったんだけど、安倍首相は、再コンペとした。というような話をされた。話に使った情報は、ザハハディドのデザイン、建設費の額とその大きさの目安、それに対する大会委員長と首相のコメント。この3つのうち前の2つは使いそうだけど、森さんと安倍さんのスタンスや対応を示すのは面白いところだ。きっと、建築などの設計等様々なプロジェクトの動向に関心のある人や政治家の言動の側面に焦点をあてると、話がいきいきとして弾みがついてくる。また、浅草寺の歴史についての説明では、漁師の兄弟が小さな仏像を見つけ、村長が自宅を寺に建て替えて供養したという後、勝海上人が来て、円仁が来てというあたりの話を、仏像が見つかったという話を聞きつけて都の偉いお坊さんが来て、次には、日本の仏教の最高の学門所のある比叡山延暦寺の一番偉い人が来て、お寺が整備されたというような、当時物知りの長老がしてくれるような感じの話にしてあった。また、旅行者にはしなくていい話として、研修生には、「当時は実際には朝鮮から来た技術者などが既にたくさんきており、その人達は自分用に小さな仏像等を持っていた。だから、そういうものがこんな形で拾われるということは起こり得ることであったらしい」という解説をしてくださった。こんな話は、歴史の専門家、研究家などの訪日客に、受けそうな説明だろう。
  • 講師も素晴らしいが、研修生の質も高いと思った。これまで、通訳案内士の試験を受けようと学校では、ガイドそのものの経験をもった人にはほとんど会わなかった。ところがこの研修では、すでに日本語での添乗業務をされている方、10年以上も海外で育った帰国子女というように、プロではないがアマチュアとしては立派なガイドが務まる人もいた。そういう人は仕事を始めるため必要な資格として試験を通過し、仕事を始める一過程の訓練としてこの研修に参加している。私のように、能力を挙げて通訳ガイドの仕事のレベルに到達させることが目標ではないような感じがした。そういう人は、身につけたいろいろな実践的能力をもっているので、その技術、能力そのものが勉強になる。
  • いずれにしても、密度の濃い体験だった。終わって2,3日、やっと日常に戻った気がする。

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